相続登記・遺産整理
不動産の相続登記の義務化
令和6年4月1日から不動産の相続登記が次のとおり義務化されました。正当な理由なく登記の申請を怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。
- 相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない。
- 遺産分割協議によって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない。

令和6年4月1日の法改正以前に発生した相続についても手続が義務化されています。この場合、原則として令和9年3月31日までに相続登記を申請する必要があります。
相続が発生した後に検討する手続の概要
大切なご家族が亡くなられた後は、深い悲しみの中で何も手をつけられない状態になってしまうと思います。そのような中でも、相続が発生した後に行わなければならない手続きの概要だけでもあらかじめ知っていると、少しは安心できるのではないでしょうか。
遺産相続の手続の流れ
相続発生後に検討すべき手続の流れは、以下のとおりです。

相続発生後の手続について期限が定められているもの
遺産分割など相続手続以外にも、ご家族の死亡後に行わなければならない手続がいくつかあります。中には手続までの期限が法律等で決められているものもあります。ご家族が亡くなった直後は冷静な判断が難しいと思いますので、ある程度は事前に把握しておいた方がいいでしょう。
| 必要な手続 | 期限 | 手続の窓口 |
|---|---|---|
| 死亡届の提出 (死亡届の詳細はこちら) | 死亡の事実を知った日から7日以内 | 以下のいずれかの市区町村役場 ①亡くなった方の死亡地 ②亡くなった方の本籍地 ③届出人の所在地 |
| 年金受給権者死亡届の提出 (※基礎年金番号とマイナンバーが紐付けされている場合は手続不要) | 国民年金…死亡日から14日以内 厚生年金…死亡日から10日以内 | 日本年金機構 (お近くの年金事務所で手続可能) |
| 介護保険資格喪失届 | 死亡日から14日以内 | 被相続人の住所地の市区町村役場 |
| 健康保険の資格喪失手続 (※死亡届を提出すれば手続不要という自治体もあります) | 死亡日から14日以内 | 被相続人の住所地の市区町村役場 |
| 世帯主変更届 (※世帯に残った方が1名だけの場合など届出が不要な場合もあります) | 死亡日から14日以内 | お住まいの市区町村役場 |
| 相続放棄・限定承認 | 「被相続人の死亡」及び「被相続人の死亡により自分が相続人となったこと」を知ったときから3か月以内 | 被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所 |
| 所得税の準確定申告 (準確定申告の詳細はこちら) | 死亡日から4か月以内 | 被相続人の住所地を管轄する税務署 |
| 相続税の申告 | 死亡日から10か月以内 | 被相続人の住所地を管轄する税務署 |
遺産の調査、戸籍謄本等の収集
遺産の調査方法
被相続人の遺産の調査方法ですが、「不動産」と「預貯金口座・証券口座等の金融資産」に分けてご説明します。
不動産
不動産については、毎年6月ごろに「固定資産税・都市計画税の納税通知書」が市町村役場から郵送されてきますので、まずはそちらをご確認ください。ちなみに、東京都23区の場合は都税事務所(東京都)から郵送されてきます。
納税通知書の中の課税明細書に不動産の内容とその評価額が記載されています。ただし、公衆用道路など固定資産税等が課税されない不動産は記載されません。ですので、それだけを見て相続手続をしてしまうと、公衆用道路などの非課税不動産の相続登記が漏れてしまいます。

そこで、以下の手続を行って他に被相続人名義の不動産がないか調査をします。
名寄帳は、申請した自治体にある不動産だけに限定されますが、非課税不動産も記載されます。他の自治体に不動産を所有していないことが確実であれば、名寄帳で公衆用道路なども調査できますので、相続登記の申請漏れを防ぐことができます。
所有不動産記録証明制度は、所有者不明土地の解消を目的として新たに設けられた制度です。ある特定の自治体だけでなく、全国規模で被相続人名義の不動産を調査することができます。名寄帳に比べて少し費用はかかりますが、相続登記の申請が漏れてしまった結果、もう一度遺産分割協議からやり直すことに比べれば、利用する価値はあると思います。
「所有不動産記録証明制度」について詳しくはこちらをどうぞ。
預貯金口座・証券口座等の金融資産
まずは、被相続人名義の通帳やキャッシュカード、金融機関からの郵便物などを探すことから始めることになると思いますが、最近ではネット銀行などの利用で、通帳など保有口座が確認できる資料が存在しない場合もあります。
相続時預貯金口座照会制度で預貯金口座を照会
その対策の1つとして、2025年4月1日から運用が開始された「相続時預貯金口座照会制度」を利用する方法があります。これは、預金保険機構に対して、被相続人名義のすべての金融機関の預貯金口座の情報開示を求める制度です。開示されるのは、金融機関名や口座番号などの情報で、預金残高などの情報は含まれません。
ただし、この制度を利用する前提として、生前に口座名義人が金融機関にマイナンバーを届け出て、預貯金口座にマイナンバーを付番(紐づけ)しておく必要があります。預貯金口座とマイナンバーが紐づけされることで、相続時にマイナンバーと紐づけされた預貯金口座が一括して抽出されて、照会者に通知されるシステムです。そのため、亡くなられた方が、マイナンバーの届け出をしていなかった預預金口座は抽出されません。
2024年4月1日に施行された「口座管理法」により、2024年4月1日以降に銀行等で新規口座を開設する際には、マイナンバーの付番を希望するかどうかの意思確認が行われるようになりましたが、それ以前に口座開設されたご年配の方などは、この制度をご存じない方も多いと思います。そのため、この制度を利用しても、すべての口座が判明するわけではないという点には注意が必要です。
従来の方法で預貯金口座を調査
従来からのアナログ的な調査になりますが、以下のような方法になります。
- 亡くなられた方のスマホ・パソコンを開いて「銀行等のアプリ」「銀行等からの案内メール」を探す。
- 亡くなられた方の生活圏(自宅や勤務先)の近くの金融機関へ個別に照会を行う。
証券口座の調査
証券会社の口座については、証券会社が分からなければ、「証券保管振替機構(通称:ほふり)」に対して「登録済加入者情報の開示請求」を行うことで、被相続人名義の口座を一括して調査できます。
こちらは、相続時預貯金口座照会制度とは異なり、マイナンバーの紐付けなどは条件となっていません。
相続手続に必要な戸籍謄本等の収集
不動産の相続手続について、一般的な必要書類は以下のとおりです。ただし、数字相続(第二の相続)が発生している場合や遺言書がある場合など、これ以外にも書類が必要になる場合があります。
- 被相続人の出生から死亡までの除籍謄本、改製原戸籍など(期間が途切れることなく連続したもの)
- 相続人全員の戸籍謄本(被相続人の死亡日以後に取得したもの)
- 相続関係説明図
- 遺産分割協議書(実印を押印)
- 相続人の印鑑登録証明書
- 被相続人の除かれた住民票(又は戸籍の除附票)
- 不動産を相続される方の住民票(又は戸籍の附票)
- 不動産の固定資産評価証明書(当年度の納税通知書に同封された課税明細書でも可)
そうは言っても、一般の方にとりましては、相続手続は一生のうちに何度も経験することではありません。実際にはどこから手続きを始めていいのかよくわからない方が多いのも事実です。
被相続人の除籍謄本や改製原戸籍なども、コンピューター化される前の古い手書きのものは一般の方にとっては見方がとても難しいと思います。本当に必要な戸籍がすべて揃っているかどうかの判断も難しいのではないでしょうか。
当事務所では、不動産の相続登記の申請手続、相続手続に必要な戸籍取得の代行手続も承っております。
相続登記の申請手続、相続に必要な戸籍の取得代行の手続は、お問い合わせフォームからご依頼ください。
遺産整理(遺産整理おまかせパック)
また、被相続人の遺産が不動産だけというのはむしろ稀なケースです。
当事務所では、戸籍謄本等の収集、遺産分割協議書の作成、不動産の相続登記の申請、預金口座・証券口座・保険の相続手続など「被相続人のすべての遺産に関する相続手続(遺産整理おまかせパック)」も承っております。
- 相続に関するご相談
- 戸籍関係書類の収集(相続人を確定)
- 金融機関・証券会社・保険会社等の財産調査、残高証明書の取得(金融資産を確定)
- 不動産の調査(状況により所有不動産記録証明書などで調査を行い相続不動産を確定)
- 遺産目録の作成
- 相続関係説明図(法定相続情報一覧図)の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 金融機関等にて被相続人様の口座解約および相続人様の口座へ預金の払い戻し手続
- 遺産に未上場株式がある場合の相続手続(株主名簿の名義書換え手続)
- 遺産に上場株式がある場合(相続人様の証券口座へ株式の移管手続き)
- 遺産に未登記不動産がある場合の相続手続(管轄の役所に名義変更届出書を提出)
- 不動産の相続登記の申請
- 登記手続完了後の登記事項証明書取得
- 相続税対策としてご希望があれば税理士をご紹介
遺産整理おまかせパックについてもっと詳しく知りたい方、お見積りをご希望の方は、こちらからご連絡ください。
相続放棄(限定承認)
被相続人が死亡して相続が開始した後、相続人が選択できる相続手続は次の3つのいずれかになります。
- 相続人が被相続人の遺産(借金等のマイナスの遺産を含みます)をすべて承継する単純承認
- 相続人が承継したプラスの財産の範囲内でのみ借金などのマイナスの財産も承継する限定承認
- 相続人が被相続人の権利や義務を一切承継しない相続放棄
実際に利用されているのは、単純承認(いわゆる通常の遺産相続)か相続放棄がほとんどで、限定承認はあまり利用されていません。
限定承認とは?
限定承認は、亡くなられた方に借金等の額がどれだけあるか不明だけれど、プラスの財産の額の方がマイナス財産の額よりも多い可能性がある場合に利用を検討し、利用する場合は家庭裁判所に限定承認の申述をします。

限定承認を選択した場合、もし後から新たな負債が見つかって、マイナス財産の額がプラスの財産の額を大きく上回った(債務超過になった)としても、相続人はプラスの財産の範囲内でしか責任を負いませんので、債務超過分について負担する必要がありません。
また、住み慣れた自宅など手放したくない財産がある場合に、相続人は、先買権(優先的に購入することができる権利)を行使して鑑定人の鑑定評価相当額を弁済することで、その財産を確保することができます。(民法第932条ただし書き)
一見すると最も合理的な手続のように思われます。しかしながら、限定承認には以下のようなデメリットがあり、これらが原因であまり利用されていません。
相続放棄の手続

原則として、相続人は「被相続人が死亡したこと」および「被相続人の死亡により自分が相続人となったこと」を知ったときから3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述を行う必要があります。
この期限を過ぎてしまうと下記のとおり単純承認したとみなされます。ただし、例外的に3か月を経過した後でも相続放棄が認められるケースがあります。
また、相続を承認するか放棄するか判断するための資料が揃わないため期限内に決断できないような場合には、家庭裁判所に期間伸長の申立てを行うことで熟慮期間を延ばしてもらえる場合があります。
相続人が次のような行為をした場合は、単純承認をしたものとみなされ、相続放棄ができなくなりますので注意が必要です。
- 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき(使ってしまったとき)
- 相続人が相続の開始があったことを知った時から3か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったとき
- 相続人が、限定承認又は相続放棄をした後であっても、相続財産の全部または一部を隠したり、または消費したり、あるいは故意に相続財産の目録に記載しなかったとき
相続の放棄は、判断や手続を誤ると取り返しのつかない状況に陥る可能性がございますので、慎重かつ正確に手続を進める必要があります。相続放棄の手続は専門家に是非ご相談ください。
「相続放棄の手続代行」をご希望される方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。
事前に内容をお聞きした上でお見積りをさせていただきます。
お見積金額にご了承をいただいた後、実際に手続に着手するまでは費用はかかりませんのでご安心ください。
費用の概算
不動産の相続登記(附帯業務)・相続放棄
| 内容 | 報酬(税込) | 備 考 |
|---|---|---|
| 不動産の相続登記 (相続による所有権移転登記) | 55,000円~ | 登録免許税は別途必要になります。 物件数や不動産評価額等により変動いたします。 |
| 遺産分割協議書の作成 | 33,000円~ | |
| 相続関係説明図の作成 | 5,500円~ | 相続人が多数の場合には費用が追加になることもあります |
| 法定相続情報一覧図の作成 | 16,500円~ | 相続人が多数の場合には費用が追加になることもあります |
| 戸籍謄本・住民票等の代理取得 | 1通につき2,200円 | 実費は別途(戸籍謄本1通450円、除籍謄本・改製原戸籍等1通750円、住民票1通300円、定額小為替1通につき発行手数料200円) |
| 相続放棄の手続代行 (ご逝去から3ヶ月以内の申立て) | 55,000円~ | |
| 相続放棄の手続代行 (ご逝去から3ヶ月以降の申立て) | 99,000円~ | 事前に状況をお伺いした上で申立ての可否を判断させていただきます。 |
遺産整理(遺産整理おまかせパック)
遺産整理おまかせパックは、不動産、預貯金、有価証券、保険など被相続人様のすべての遺産の相続手続になります。
不動産の相続登記以外に、銀行・証券会社・保険会社などの口座の相続手続(相続手続の金融機関等が3か所以上の場合)を併せてご依頼いただく場合は、遺産整理おまかせパックでのお手続きなります。
遺産整理おまかせパックの業務内容
- 相続に関するご相談
- 戸籍関係書類の収集(相続人を確定)
- 金融機関・証券会社・保険会社等の財産調査、残高証明書の取得(金融資産を確定)
- 不動産の調査(状況により所有不動産記録証明書などで調査を行い相続不動産を確定)
- 遺産目録の作成
- 相続関係説明図作成(法定相続情報一覧図)の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 金融機関等にて被相続人様の口座解約および相続人様の口座へ預金の払い戻し手続
- 遺産に未上場株式がある場合の相続手続(株主名簿の名義書換え手続)
- 遺産に上場株式がある場合(相続人様の証券口座へ株式の移管手続き)
- 遺産に未登記不動産がある場合の相続手続(管轄の役所に名義変更届出書を提出)
- 不動産の相続登記の申請
- 登記手続完了後の登記事項証明書取得
- 相続税対策としてご希望があれば税理士をご紹介
遺産整理おまかせパックの費用
遺産整理おまかせパックは、不動産の相続登記以外に、銀行・証券会社・保険会社など相続手続の金融機関等が3か所以上ある場合が対象になります。
手続をご依頼される金融機関等が2か所以下の場合には、別途お見積りさせていただきます。
この場合は、特別な事情(例えば、相続人に外国籍の方がいる場合など)がない限り、以下の遺産整理おまかせパックの費用よりもお安い金額で手続きが可能です。
- A銀行口座の相続手続とB銀行口座の相続手続(A銀行とB銀行で手続対象の金融機関は2箇所)
- C銀行口座の相続手続とD証券会社の株式の相続手続(C銀行とD証券会社で手続対象の金融機関は2箇所)
| 相続財産の価格 | 報酬(税込) |
|---|---|
| 500万円以下 | 275,000円 |
| 500万円超5000万円以下 | 財産額の1.32 % + 209,000円 |
| 5000万円超1億円以下 | 財産額の1.1 % + 319,000円 |
| 1億円超3億円以下 | 財産額の0.77 % + 649,000円 |
| 3億円以上 | 財産額の0.44 % +1,639,000円 |
※ 相続財産の価額は、プラスの財産(負債等の額を控除する前)の金額で算定します。
※ 相続人が多数の場合や相続人に外国籍の方が含まれている場合には、追加の費用がかかります。
※ 不動産の相続登記(所有権移転登記)の手続報酬も上記に含まれています。(登録免許税は別途必要になります)
